Interview

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特定非営利活動法人 国連UNHCR協会 島田祐子さん 前編

国連の難民支援機関であるUNHCR(ユーエヌエイチシーアール/国連難民高等弁務官事務所)の日本における公式支援窓口である国連UNHCR協会で、主に法人からの支援を募る業務を担当している島田祐子さん。日本人初の国連難民高等弁務官として活躍された緒方貞子さんの著書を読み、人道的な活動に共鳴してこの道を志しました。

 

 

●民間からの支援を募るために立ち上げられた国連UNHCR協会

 

ロズリン : UNHCRとはどのような組織なのでしょうか?

 

島田 : 国連機関としてのUNHCRは、第二次世界大戦後の1950年に発足しました。元々は東ヨーロッパ系の難民の方々の帰還支援を行うため、3年間のみの暫定機関として設立されました。しかし、ハンガリー革命が起こり、アフリカ諸国の独立に伴う紛争が勃発し、中東が不安定化するなかで、国連総会決議で引き続き存続期間が延長され、2003年には、難民問題が解決するまで、恒久的に存続する機関とすることが決定されました。

 

 

ロズリン : 今、UNHCRは何か国で活動しているのですか?

 

島田 : 世界130か国で、1万1000人のスタッフが難民支援の現場で活動しています。

 

ロズリン : 島田さんが所属されている国連UNHCR協会は国連組織ではなく、独立した民間の組織なのですよね?

 

島田 : そうです。私が所属する国連UNHCR協会は認定NPO法人のかたちをとっています。UNHCRの活動を支えるため、日本の民間の人に向けて広報・募金活動を行うため、2000年に立ち上げられました。

UNHCRは長年にわたって国連加盟国からの拠出金、つまり各国政府からの支援に頼ってきたという歴史があって、日本も最大のドナー国のひとつです。日本の拠出金がUNHCRの活動を支えていることは間違いないのですが、難民問題の拡大に伴い、民間の力がもっと必要になってきた背景があります。

 

ロズリン : グラフを見せてもらいましたが、2000年以降の資金の伸びがすごいですね。

 

島田 : おもに企業、団体、個人の皆様からのご支援なのですが、いちばん割合が多いのは個人の皆様からのご支援です。 2017年末時点で32億円の大きなご支援を協会としてお預かりすることができ、そのうち8割が個人のご支援でした。月々募金をいただく「毎月倶楽部」のご支援が積みあがっています。

 

ロズリン : 1人あたりの平均募金額はいくらですか?

 

島田 : 平均約2千円のご支援を毎月数万人以上の方からお預かりしています。

日本の支援者の大きな特徴は、一度支援を始めると長年にわたって続けてくださることです。それは、支援者の皆様がUNHCRを支援する意義をしっかり考えたうえで始めてくださるからだと感じています。本当にありがたいことです。

 

 

ロズリン : 素晴らしいですね。支援をしてくださる方々の性別や年齢層にはどんな傾向がありますか?

 

島田 : 男性と女性はほぼ半々、年代は40代以降の方々が多い印象です。この頃はネット募金もあり、若い層からの関心も高まりつつあります。

 

●全世界に約7千万人もの支援対象者が

 

ロズリン : そもそも難民とはどのような人たちなのでしょう。何人くらいいるのでしょうか。

 

島田 : UNHCRの支援対象者は2017年末時点で全世界で7,144万人にのぼりました。そのうち住んでいた場所から避難を強いられた人は6850万人。2秒に1人が移動を強いられている状況です。

 

ロズリン : それほど大勢の方々がどうして難民となってしまったのでしょうか?

 

島田 : 政治的な迫害のほか、武力紛争や人権侵害などを逃れるために国境を越えて他国に庇護を求めた人々を難民と呼んでいます。その半数以上は18歳未満の子どもたちです。

そのほか国内避難民という方々もいます。とくにシリア問題で顕著になってきましたが、紛争などによって住み慣れた家を追われたが、国内にとどまっているかあるいは国境を越えずに避難生活を送っている方々です。

もうひとつのカテゴリーとして無国籍の方々もいます。国籍を持たないためにどの国からも保護が受けられない方々です。彼らの場合、無国籍であるのは自分の選択した結果ではありません。

 

 

●難民支援の3つのフェーズ

 

ロズリン : 難民を保護するということですが、具体的にどんなことをしていくのでしょうか?

 

島田 : まず難民支援には大きく分けて3つのフェーズがあります。

1つめは緊急支援です。UNHCRが非常に重要視しているのは、緊急事態においても人間としての尊厳を保護すること。具体的には、命を守り、衣食住を提供する支援です。

その支援を始めるために必要なのが、対象者の登録です。無国籍の方が難民となった場合でもUNHCRが登録することで、その方のアイデンティティーが生まれます。それから家族ベースでも登録を行い、各家族のニーズに基づいて必要な支援を行います。また、たとえば子ども8人をお母さん1人が育てている家族や、病人のいる家族を優先して支援するなど、優先順位を明確にすることもできます。

 

 

ロズリン : たしかに保護対象者を明らかにすることは大事ですね。

 

島田 : 2つめは中期的な支援です。難民キャンプや避難先で教育を受けられるようにしたり、自立のために仕事ができる仕組みをつくったり、テントではないところに住めるような住居の支援をしたりします。

3つめは、帰還もしくは定住のための支援です。これが支援のゴールになります。一番望ましいのは故郷へ帰還できることですが、残念ながらそれができない状況もあるので、その場合は避難先や第三国で定住できるよう支援を行います。2017年に故郷への帰還を果たした人は約500万人でした。

 

ロズリン : そうですか。それは素晴らしいですね。

 

それでは後編で、島田さんご自身のお話をお聞かせください。

 

【国連UNHCR協会について】

国連UNHCR協会は、国連の難民支援機関であるUNHCR(ユーエヌエイチシーアール/国連難民高等弁務官事務所)の活動を支える日本の公式支援窓口です。UNHCRの活動資金は、各国政府からの任意の拠出金ならびに民間からの寄付金に支えられていますが、もっと広く民間からも支えていこうという機運が世界的に高まり、日本では2000年10月に、民間の公式支援窓口として、特定非営利活動法人 国連UNHCR協会が設立されました。

https://www.japanforunhcr.org



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日本で人生の半分以上を暮らし、動物(特にネコ)と自然、最近はゴルフも愛する、心優しきオーストラリア人。
ワインなら何杯でも?いける口です♪

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