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ヴァイオリニスト 宮陽江さん 前編

 

スイス・ジュネーブを拠点に、国際的に活動するバイオリニスト、宮陽江さん。
子供の頃からバイオリン一筋。思春期の頃も今も、気が付くとクラシックの作曲家のことで頭がいっぱいになっているという筋金いりの音楽家。彼女のバイオリン人生と、音楽への思いを伺った。

 

【前編】
●無意識にバイオリンを弾くジェスチャーをした幼少期


ロズリン : お久しぶりです。前に伺った、サントリーホールでのコンサート、演奏だけでなく、衣装も含めてドラマティックなチャイコフスキーで素晴らしかったです。

 

宮 : ありがとうございます。演奏はもちろんですが、私は衣装も含め、総合芸術としてその公演ごとにテーマを設定し、作り上げていきたいと心がけているので、そこを感じていただけてうれしいです。

 

ロズリン : それは素敵ですね。今日はぜひいろいろなことを聞かせてください。
宮さんは今、スイスのジュネーブに住んでいらっしゃるそうですが、子供の時から海外生活が多かったんですか?

 

宮 : はい。父の仕事の関係で、生まれたのはアメリカ・ニューヨーク州で、一度日本に帰り、パリに6歳までいました。その後は大学卒業まで日本です。

 

ロズリン : バイオリンはいつ始められたの?音楽はご家族の方もやっていたんですか?

 

宮 : はい、母がアマチュアでピアノを弾いていて、祖母はお琴の名手でした。
バイオリンを始めたのは3歳の頃。当時、母は私にバレエや絵画教室などいろいろなものを習わせてくれていたんですね。そんな中、私がティッシュの箱を首にはさんでバイオリンを弾くようなジェスチャーをしたそうで。

「この子、もしかしてバイオリンをやりたいんじゃないかしら」と気付いた母が習わせてくれたんです。それ以来、どの写真をみても、私はバイオリンケースを持っています。

最初から本当に大好きで、なんというか、この楽器を持つのは初めてではないというか、まるで前世で弾いていたかのような、最初からなじんだ感覚だったことを覚えています。

 

 

ロズリン : それはすごいですね。演奏家になろうと思ったのはいつ頃ですか?

 

宮 : ずっと大好きで弾いていたので、自然な流れでしたが、桐朋女子高等学校音楽科に進学したことは大きいかもしれません、周囲もコンクールに出たり、海外に音楽留学する方が多かったです。

 

ロズリン : 桐朋女子高等学校・同大学を卒業した後は海外に出られた?

 

宮 : はい。幼少期をヨーロッパで過ごしたので、また戻りたい気持ちが強かったんです。

相談していた先生がパリ在住だったので「こちらにいらっしゃい」といわれた時はてっきりパリだと思ったら、なんとその先生はスイス・ジュネーブの高等音楽院で教えてらしたんです。でもそんな偶然でしたが、スイスにはとてもご縁を感じています。
当時、私はエルネスト・アンセルメというスイスの指揮者が大好きだったので、「スイスだ。アンセルメの国!」とうれしかったですし、その後、ジュネーブの室内管弦楽団に所属したのですが、スイスのフランス語圏、スイスレマン一帯にはまだアンセルメのカラーが残っていた気がします。なんというか、自然豊かな環境の中で生まれた音楽。たとえばレマン湖の透明感やきらめく光など、そういうところから育まれた音楽はとても美しいんですね。

 

ロズリン : ジュネーブはきれいな街ですね。ヨーロッパの各国にとても行きやすいという利点もありますし。

ソリストになってから、活動もしやすいのでは?

 

宮 : はい。ヨーロッパの国々を訪れることが多いので、確かに便利です。永世中立国だからかはわかりませんが、いろいろな国とバランスがよくて、自分の音楽を作る環境としては、とても居心地がいいんです。


●一夜の公演の音楽づくりはシェフがディナーを作ることに似ている。

 

 

ロズリン : 宮さんは舞台であがったりしますか?

 

宮 : ほとんどあがらないです。思春期の頃に、教えていただいたことを考えすぎて迷ってしまった経験はありますが。今は舞台の上は別世界。立った途端に別次元に入る感じです。クラシック音楽という文化の深さは、人類の歴史そのものだと思っていますので、ある意味、それを奏でることは人間である1つの証明だと私は思ってます。

 

ロズリン : バイオリンという楽器自体も貴重品だと思いますが、音楽自体貴重ですね。
造られてから何世紀もの歴史がある。同じ曲を何回も弾き、その日によってやはり表情が違ってくるものですか?

 

宮 : 公演だと、お客様が違うと返ってくるエネルギーが毎回違いますね。

 

ロズリン : それはたとえばどんな感じですか?

 

宮 : こうでなくてはいけない、ということはないんですが、たとえばスロヴァキアでコンサートを行った時のこと。ほかの西欧の国より比較的、同じ髪や肌の色など、人種的に同じ方たちが集まっていたんですね。スロヴァキアの民族的に共有してきた歴史があるのか、なんとなく、そこにいるだけでまとまっている感があり、そこに音楽のインパクトを加えることで、似たような空気感というか、エナジーみたいなものが伝わってくる感じですね。言葉でいうのは難しいですが。

 

ロズリン : なるほど。演奏は指揮者によっても変わってくるでしょうね。

 

宮 : そうですね。一期一会です。共同作業というか。日本語はおもしろくて、「共演」の「共」は、「競」や「響」でもあり、いろんな字がありますが、「狂演」にだけはならないようにしようと思っています(笑)。
指揮者と演奏者の関係は、たとえるとしたら一つのディナー。こういう新鮮な素材が入ったから、これをどう料理し、お酒は何を組み合わせようとか、シェフがいろいろ献立を考えてできた料理が、その日の音楽。その時の素材をどう活かして最高のものに仕上げるか作ることが醍醐味だと思います。

 

 

ロズリン : うちの会社は東京シンフォニアという弦楽器だけの室内オーケストラのスポンサーをしていて、公演前の合同練習を見学したことがあるのですが、いつも驚くことに、みんなであわせる練習は2日ぐらいしかしないんですね。プロとはいえ、すごいと思います。

 

宮 : かえって緊張感があっていいかもしれないです。練習時間がたっぷりあっても、だれてしまうことがありますからね。

 

ロズリン : なるほど。そういうものなんですね。

 

後編に続きます。

 

 

 

〜宮陽江さんコンサート情報〜

URL:http://www.yoe.jp/topics.html

 

■宮陽江 山口裕子  ヴァイオリンとハープ 響きあう弦〜名小品集〜 

 

[ 札幌公演] 2 0 1 8 年7 月6 日( 金)1 8 :3 0 開場/ 19 : 00 開演
六花亭札幌本店10 F きたこぶしホール


[ 旭川公演] 2 0 1 8 年7 月8 日( 日)1 4 :3 0 開場/ 15 : 00 開演
旭川 島田音楽堂

 

[帯広公演] 2018 年7 月10 日(火)18:00 開場/18:30 開演
とかちプラザ・レインボーホール

 

■宮陽江 バロックへの誘い〜調和と創意の試み〜 vol.1

[東京公演] 2018年7月24日(火)18:30開場/19:00開演
東京オペラシティ B1F リサイタルホール

 

 



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日本で人生の半分以上を暮らし、動物(特にネコ)と自然、最近はゴルフも愛する、心優しきオーストラリア人。
ワインなら何杯でも?いける口です♪

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