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歯科衛生士 片山章子さん 後編

 

大切な歯を守る予防歯科の存在を、もっと多くの方に知ってもらいたい!

片山章子さんは、フリーランスの歯科衛生士。臨床の現場に立ちながら、「予防歯科の普及」をテーマに研修や講演活動に力を注いでいます。そんな片山さんに予防歯科の必要性や歯科衛生士という仕事について語っていただきました。

 

(後編)

目指すのは、削る治療が圧倒的に少なくてすむ歯科医院

 

ロズリン:いまお勤めのクリニックでは、ある程度は「予防歯科」のシステムができていたんですか。

 

片山:わたしが入社した当初は医院が開設して間もない時期で、予防歯科のコンセプトは明確でしたが、その手段については模索の段階でした。そのころは、「痛い」「詰めものがはずれた」という理由で来院なさる患者さんばかりで、そこが解決したら通院は終わりという昔ながらのお考えです。そこで、まずは、予防歯科を知ってもらうことからはじめたのですが、「痛くもないのに、なぜ通わなくちゃいけないのか?」という疑問の声がほとんどでした。

 

ロズリン:それは大変でしたね。最初のアプローチはどのように?


 

片山:患者さんとのやり取りのなかで多くの経験を重ね、初回に何を語るかが重要だと気づきました。患者さんが自らケアをしたくなるような、心に響く情報提供です。

そこで、患者さんがはじめにいらしたときに、よく話すのが「削らない治療」についてです。むし歯は穴があく前の初期の状態なら削らなくてすむことを知ってもらい、そのための有効な手段がケアであることをプレゼンします。

穴が開くまでの長い年月とプロセスを含む「本当のむし歯」の実態を知らない方がほとんどのようで、このプレゼンに皆さま驚かれます。

いまだ、初診の方や初めて出会う方と話すたびに、初期のむし歯はケアで回復できることを知らずに、どうにもできないものだと諦めている方が多いことを痛感します。予防先進国と比べて、むし歯の正しい情報を知る機会が少ない日本の課題ですね。

 

ロズリン:なるほど。むし歯の正しい情報とは?

 

片山:初期のむし歯を回復するためのケアは、医院におまかせするプロケアだけではなく、患者さん自身が行なう日々のセルフケアが要となります。私たちと患者さんとの協働作業がうまくできなければ予防は成立しません。そこで次に、「一緒に取り組んでいきませんか? 私たちは全力で支援します」とお話します。

正直、全員が同意されるわけではないですね。痛みを取りのぞいたり、壊れた詰めものをつくり治す治療と違って、予防は効果をすぐに実感することが難しいので、お金と時間をかけることはハードルが高いようです。でも、長く医院に通ってくださるうちに、いつか必ず気づきのときが来るかな、と。

 

 

ロズリン:気づいていただくために、工夫をしていることはありますか。

 

片山:ビジュアルでお見せすることを意識しています。例えば、お口の中の状態を撮影した写真をよく使いますね。むし歯や歯周病というお口の疾患は、大抵はご本人が見えない、もしくは見えにくいところで起こります。その見えない世界を見えるようにして、分かりやすくご説明することが、私たちのお役目だと思うのです。写真をじっと眺めていただくと、歯肉の色の違いなどに患者さんが自らお気づきになることが多いのですが、「あれ?なにか違う」という気づきから、「これは、一体なにが起こっているのか?」という疑問に変わるときが、ご説明のチャンスなんです。写真などを通して、まずご自身の口腔内をよく知っていただくことが、予防歯科の第一歩ですね。

 

ロズリン:なるほど。歯に対する意識は年々高まってきていますから、予防歯科の認知も進んでいきそうですね。

 

片山:そうですね。最近は患者さんを通じての紹介で、初めから予防歯科を目的に来てくださる方が多くなってきました。先日いらした方は「これからは、自分の歯を大切にしたいと思っています。頑張って通うのでお願いします」と言ってくださいましたが、とてもうれしかったですね。

銀座という場所柄、地域や家族ぐるみでの関わりは難しく、違う展開になるかと思いきや、自分が受けてよかった健診やケアは大切な人にも受けてもらいたいと思ってくださるようで、うちの医院は家族で通われる方も多いのですよ。

 

 

ロズリン:そうなると、歯科医師より歯科衛生士の出番が増えてくる?

 

片山:いいえ。ケアの専門家が歯科衛生士であることを考えればそうでしょうが、ケアを行うためには歯科医師の確定診断が重要ですし、あらゆるリスクから患者さんの歯を守るためには治療とケアの連携 つまりチーム歯科医療が軸となりますから、双方とも出番は変わりませんね(笑)。

目指すは、削る治療が圧倒的に少なくてすむ歯科医院なんです。

 

技術と思いを未来へ引き継ぐことがミッション

 

ロズリン:ところで、片山さんはさすがきれいな歯ですね。

 

片山:ありがとうございます。唾液検査でむし歯のリスクを測りましたが、リスクは低く、むし歯にはなりにくいようです。それを思うと、若いころ、学校検診で初期のむし歯と言われてすぐに削ってしまったのが残念ですね。ケアで回復する見込みがある場合は、極力削らないほうがいいんです。というのも、削ると人工物で穴を埋めますが、その隙間から二次感染するリスクが高まってしまうので。

 

 

ロズリン:一番むし歯リスクが高いのは、歯科治療を受けている人だと聞いたことがあります。皮肉ですね。

いまは世界中で、できるだけ削らない方向になっているとか。

片山さんはスピーカーとして、いろんなところでそういったお話をされているんでしょう? 素晴らしいお話でしょうね、ぜひ聞いてみたいです。

どのようなきっかけで講演のお仕事を始められたのですか。

 

片山:勤務先の理事長がデンタルショーのブースに立って話をする機会をくださったのがきっかけです。それから10年以上、講師活動を続けています。初めは新しい経験に面白さを感じつつ、こなすことに精一杯で、講師としてのミッションが定まっていなかったことを思い出しますね。

いまは、次世代の歯科衛生士を育てるというミッションを胸に、講師活動に力を注いでいます。患者さんの大切な歯を守るためには、患者さんの生涯を通してメンテナンスで支え続けることが重要ですが、現在46歳の私がそれを最後まで行うことはできません。ですから、早い段階から、技術と思いを未来へ引き継ぐことが大切だと強く思うのです。若い歯科衛生士たちの成長を応援することが、予防歯科の継承になると考え、この仕事にやりがいを感じています。

 

ロズリン:この仕事は、片山さんにとって天職なんですね。今日は興味深いお話をどうもありがとうございました。

 

 

<感想>

臨床の現場に立ちながら、予防歯科の普及活動や後進の育成に取り組まれている片山さん。現在の医院では予防歯科のシステムを一から築き上げ、「歯の大切さ」を伝える活動をされています。私たちサンギも、「健康的で美しい歯の大切さ」を伝えている企業として、共感できる部分がとても多かったです。予防歯科の意識の高まりとともに、ますますご活躍される片山さんの今後が楽しみです!

 

 

片山章子さん

「大切な歯を守る」信念のもと、医療法人社団純厚会 銀座デンタルケアークリニックを中心に様々な歯科医院で予防歯科を実践するフリーランスの歯科衛生士。痛みがでる前に歯科医院へ通う「お口の定期健診」があたり前の習慣になることを願い、女性誌取材や講演会出演で「むし歯も歯周病も適切なケアで予防できること」を発信する。また、予防ケアのスペシャリストである次世代の歯科衛生士を育てるために、専門誌執筆や全国各地へ赴く研修活動にも力を注ぐ。

片山章子HP URLdh-katayama.jp



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日本で人生の半分以上を暮らし、動物(特にネコ)と自然、最近はゴルフも愛する、心優しきオーストラリア人。
ワインなら何杯でも?いける口です♪

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