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慶應大学文学部 准教授 河野 礼子さん 後編

 

歯の化石から探る人類の進化という壮大な研究に取り組んでいる、元・国立科学博物館の研究員で、4月からは慶應大学文学部の自然科学分野の教室で教鞭をとる河野礼子さんを迎えての後編です。

 

 

最高に楽しい! 現地調査

 

ロズリン:美容で歯をいじったりすることもあったと聞いていますが、それはどのくらい前からですか?

 

河 野 :目的が美容かどうかはわからないのですが、日本だと、縄文時代で切歯をフォーク状に削っていた例があります。
また、両側の特定の歯をそろって抜いている例もあります。これらは身分や出身をあらわすものとして行っていた可能性も考えられます。

 

ロズリン:その時代の文化や風習を想像すると、興味深いですね。
発掘の現場に参加されることもあるんですか?

 

河 野 :はい。研究を始めてすぐにアフリカに調査に行き、その後中国に行ってギガンドピテクスの発掘調査にも参加しました。
ミヤンマーの古生物学調査を行っているグループにも入れてもらい、今年も2月から3月の数週間ミヤンマーに行きました。

 

ミャンマーの発掘現場

 

調査対象をX線CT装置で撮影し三次元デジタルデータにして分析するという手法のおかげで、本当に「いっしょにやらないか」とよく声がかかるんです。

 

石垣島で見つかった旧石器時代の人骨のデジタル復元を行う調査にも参加させてもらい、いまはそれにかかりきり。デジタル復元だけでなく現地の発掘調査にも参加しました。


ロズリン:現地調査は楽しそうですね!

 

河 野 :はい! 大好きです。
でも、石垣島では、立ち上がれば綺麗な海が見えるんだけど、しゃがんで土を掘っているので、見ているのは地面ばかりという状況なんですが(笑)。

 

 

ロズリン:お仕事では学生の指導をされることもありますか。


河 野 :いままでは博物館での仕事だったので、学生指導はしていませんでした。上野の展示場で来館者に話をする仕事はありましたが。
ただ、この4月から慶應大学の文学部に移り、そこで教養課程の授業を受け持つようになりました。また将来的には考古学専攻の学生の指導に携わる機会もあるかもしれません。


ロズリン:研究は続けていくんですか。

 

河 野 :はい。講義以外の時間には研究もできるので、前期の講義を終えて落ち着いたら、始めようと思っています。

夏季休暇など長い休みには、ぜひ現地調査にも行きたいですね。

 

 

 

業界内では「お!」と驚かれる発見も?

 

ロズリン:歯の研究では、いまはどんなテーマが旬なんですか?

 

河 野 :人類の進化における歯の研究は、業界全体で一段落している感じなんです。歯の大きさもエナメル質の厚さも、人類かそうでないかの明確な指標にはならないということになっていて。

 

これ以上のことは、遺伝子レベルに踏み込まないとわからないのですが、それはいまの時点ではまだそれほど簡単ではないね、と。

 

ロズリン:そうなんですか。素人にはわからないことばかりですね。
長い研究生活の中で、何か大きな発見はありましたか?

 

 

 

河 野 :私がしているのは、何かを見つけるものではないので。あっと世界が驚くような発見というのは、ありませんね。

 

ロズリン:でも変わった歯とか、あるはずのないものがあったとか。

 

河 野 :うーん。何か不思議なものを持ってはいて、調べてみようというのはあるにはあるんですけど、一般の人が驚くようなものではないですね。業界内では、「お!」と思われるかもしれないですが。

 

 

 

きれいな骨なら怖くない

 

ロズリン:歯の研究をしていると、人間の頭蓋骨にも多く触れる機会がありますよね。ちょっと気味悪いと思うことはないですか。

 

河 野 :人にもよるし、慣れもあるけど、私の場合はきれいに骨になってたら怖くないです。

でも時々、毛がピロッとついていることがあって。そんなときは、ちょっとゾッとしますね。

 

あと、歯の治療痕や病気の影響を受けている骨なども苦手です。

要するに、生きている人間だったときのことを彷彿とさせる何かがあると怖い。

 

ロズリン:なるほど。たしかにそうかもしれませんね。

今日は興味深いお話をどうもありがとうございました。

 

 

<インタビュー感想>

 

人の歯に関わる仕事に携わりながら、かたや遥か過去に遡り、人間の進化の過程において、歯にもどのような変化が起こったのか、その謎に迫る研究をされている河野さん。

それに対して歯の修復や再生など、その未来を見つめ、これからの進化に関わる可能性のある研究に取り組むサンギ。

同じ歯でつながりながらも、全く向かう方向が異なりますが、壮大な時の流れを感じるお話は、ロマンがありとても面白かったです。

4月からは大学で授業を受け持っているそうですが、先生の新たな成果も楽しみにしています!

 

 



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日本で人生の半分以上を暮らし、動物(特にネコ)と自然、最近はゴルフも愛する、心優しきオーストラリア人。
ワインなら何杯でも?いける口です♪

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