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デビル・クラフト 後編

 

東京都品川区の京浜工業地帯にあるビール醸造所でクラフトビールを作り、そのビールとシカゴスタイルの “ ディープディッシュピザ ” を提供する直営店 「 DEVIL CRAFT( デビル・クラフト )」 を経営するアメリカ人のオーナー3人のうち、ジョン・チェンバーズ、マイク・グラントの二人に話をうかがいます。

 

■ DEVIL CRAFT URL : http://www.devilcraft.jp/

 

 

 

奥が深いビールづくり

 

ロズリン:ちなみに今飲んでいますが、みなさんの作るビールはおいしいですね!

 

マイク:いろいろな味に挑戦しているんですよ。

クリスタルモルトを入れると甘みが出ますし、レモンピールやグレープフルーツなど柑橘類のピールを入れると爽やかな風味など、できるものの芳香が本当にすばらしくて。

 

 左の写真は、グレープフルーツのピール

 

 

ロズリン:さっき工房を通ってきたときに、グレープフルーツの香りがとてもさわやかだったのは、それだったんですね。

 

今いただいているこの黒ビールは、すごく香ばしくて、濃くて、まるでコーヒーかチョコレートのよう。

 

 

工房でジェイソンさんに味見させていただいた、黒っぽい焙煎した小麦をいれているんですか?

あれもコーヒーみたいな味がしました。

 

マイク:そうです。おもしろいでしょ?

焙煎の具合で、そういう味も出せるんですよ。この黒ビールはうちの定番商品で、アルコール濃度が10%もあるので、ちびちびのんでくださいね(笑)。

 

 

ロズリン:はい ( 笑 )。 ちなみにビール作りのアイデアは誰が出すんですか?

 

マイク:3人で話し合いながら。

これを入れたらこんな味になる、こんな色になる、と微調整をしながら試行錯誤しています。

 

温度などいろいろな要因が働きますので、ビールづくりは奥が深いですよ。

でも、たくさんの種類を作ってみたくて、様々な材料を使ってみて、かなり多くの種類ができています。レシピは数百種類ありますね。

 

ロズリン:そんなに?小規模な工房でそんなに作っているのは驚きです。

 

マイク常にそれだけあるわけではなく、数種類の定番があります。

他は新しいものづくりに挑戦し続けています。こうしようと思ったものがまったく違う味の別物になったりと、本当に面白いです ( 笑 )。

 

いまは6週間かけて4種類のビールを用意して店に出すようにしています。

ただ、まだ始めたばかりなので、いつもまったく同じものが作れるかもわからない。

同じ味に二度とならないことも多いですね。

 

でも失敗は成功のもと。失敗があるから、それをもとにまたおいしいビールができる。

 

 

工房内で、醸造の過程を詳しく教えてくれるジェイソン・コウラー

 

 

ビールのもとになる麦芽。ビールの種類により使い分ける

 

 

ビールに加えるホップ
ビールの苦味成分も含み、独特の香りをうむ

 

 

ジョン:マイクはすごく “ 発酵 ” というプロセスが好きなので、いろんな種類に挑戦するんですよ。

 

ロズリン:こちらに顕微鏡もありますね。

ビールも化学の世界ですが、その発酵の様子を観察されるんですか?

 

マイク:あの顕微鏡は、発酵の様子ではなく酵母を観察するのに使っています。

本当に発酵というのは不思議なもので、取り組んでいるとはまってしまう ( 笑 )。 ついつい、いろんなものを作りたくなる。

 

 

ロズリン:本当に香りが強く、コクのある豊かなビールですよね。ぜひいろいろ飲んでみたいです。

 

3人でビジネスをやっていて、役割分担はどのように?

 

ジョン:ビールを仕込む作業は、週に1〜2日で済むので3人で。

ビジネスプランを立てるのは主に私。

マイクはパブのマネージャー兼レシピデザインが得意、ジェイソンは醸造がメインで、あとPR関係かな。

 

税務署の対応や各種手続きなど実務的なことや、工房の仕込みの手伝いは日本人スタッフの鈴木さんがやってくれています。

彼は設立当時からのスタッフで、ビールへの情熱がすごくて。

休みの日もビールを飲み歩いたりして、我々より研究熱心かもしれません ( 笑 )。

 

 

 

熱いディスカッションもしばしば

 

ロズリン:今までで、何が一番大変でしたか?

 

マイク:思い出したくもないことが、一つあります。

実は本格的に醸造をするための機械を輸入したら、それが税関で通らなかったんです。

 

理由はそのタンクに使われている材質が、日本への輸入では許可されていないものだったこと。

この機械は世界中で使われているもので、安全性はわかっているのにです。

実は申請のやり方があるらしいのですが、僕たちは素人なので真正面からやってしまったんです。

 

結局、そこから免許が下りるまで約1年かかりました。

その間はずっと税関にとめおき。ビールは作れないし、でも税金はかかる。その金額は恐ろしい額になり、もう考えたくありません。

 

ロズリン:うわぁ。日本の税関は厳しいですよね。

 

ジョン:その間、パブが稼いでいてくれたので本当に助かりました。

 

 

ロズリン:でもお店とビール作り、それにみなさん、まだほかの仕事をしていたりで。すごく忙しいですよね。 

 

ジョン:もちろんそうだけど、お店はスタッフも雇っているし、あと実は僕たちの妻たちも手伝ってくれてるんですよ。

 

うちの妻は、元銀行員。約30年勤務したのですが、お店ができたときに退職して、それからずっと手伝ってくれています。

お給料は半分以下になったみたいですが、今のほうが楽しいと彼女はいっていますね。

 

ロズリン:そういうものかもしれませんね。

 

ジョン:忙しいし、まだまだ収入的にはこれからですが、好きなことをしていて目的があるのは本当に楽しいですから、苦にならないですね。

 

 

ロズリン:3人は喧嘩をしたことはある?

 

マイク:熱いディスカッションはしょっちゅう。

でも3人だから、全員で意見が合うか、2対1になるかでしょう。

2対1になったら多数決だからあきらめる。

 

負けたからこのやろうとは思わない ( 笑 )。 そんなわけで、だいたいうまくいっているかな。

 

 

ロズリン:本当にみなさん楽しそうですものね。

ちなみに 「 デビルクラフト 」 というお店の名前とビールのブランド名はどうして名付けたんですか?

 

マイク:なんとなくデビルという単語がいいなと。

Devil for work  ( 仕事の鬼 ) ってあるけれど、「 チャレンジング 」 という意味合い。

ユニークだし、はっとするところがあって、わかりやすいでしょ?

 

 

ロズリン:確かに、魅力的ですね。

最後に、ビールづくりの魅力と将来の展望について教えてください。

 

ジョン:将来のビジョンですか。まあ、それはまだ現実の世界ではないから ( 笑 )。

とにかくビールが好きだから、夢を実現できたことの満足感があります。

 

マイク:先ほども言いましたがビールづくりは奥が深くて、特に発酵の過程は不思議この上なく面白い!

ビールのもとはただの麦芽汁、そこにイースト ( 酵母 ) を足すとビールになる。

趣味で作っていたころは透明なタンクに入れて、発酵の様子をいつまでもじっと眺めていて、奥さんに怒られたぐらい ( 笑 )。

 

発酵とは本当にこの世の奇跡だと思います。そんな奇跡を仕事にできて、幸せです。

 

 

ジョン:将来のビジョンと言えば、特にまだ決めていません。

3人それぞれの家族が暮らしていけるように、フランチャイズにするとか、もっとビールにフォーカスしてスタンデイングバーを作るとか、ビールだけを売る外販のシステムを作るとか、いろいろ考えています。

 

ビジネスモデルは柔軟に、その都度考えていきたいですね。

近い目標は、とりあえず工房にもっと樽を増やし、もう少し提供できるビールの量を増やし、ほかのお店にもおろせるようにしたいですね。

 

 

ロズリン:夢が広がって楽しみですね。

私もみなさんのお店にいって、ビールとピザをぜひ味わいたいです。

 

マイク:ぜひおいでください。

 

ロズリン:今日は楽しいお話と美味しいビールをありがとうございました。

 

 

写真右から、マイク・グラント、ジョン・チェンバーズ、ジェイソン・コウラー

 

 

<インタビュー感想>

 

醸造所の見学もでき、本当に楽しいインタビューでした!

なかなか到着できなかったときは、本当にこんな場所に醸造所があるのか?と不安になりましたが、小スペースながら見事なビールを作り上げていました。

 

話をうかがっていても、みなさん本当にビール作りが大好きというのが伝わってきました。

大好きなことを仕事にできるのは、本当に幸せですね。

その幸せが美味しいビールを生んでいると思いました。

 

新たに五反田にも店舗が増え、神田と浜松町とあわせ全3店舗に!

このブログを読んで彼らの作るビールとディープディッシュピザが食べたいと思った方、ぜひ足を運んでみてください。

 

 

 



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日本で人生の半分以上を暮らし、動物(特にネコ)と自然、最近はゴルフも愛する、心優しきオーストラリア人。
ワインなら何杯でも?いける口です♪

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