Interview

インタビュー一覧

和紙作家 リチャード・フレイビンさん 前編


 
  
 
   日本在住の芸術家和紙作家
   リチャード・フレイビン さん
   お話をうかがう、前編です。




版画を学ぶために来日して約40数年。
手漉き紙に魅了され、自ら紙漉きを初めた彼は、現在、和紙の原料の楮 ( こうぞ ) を
育てるところから行なっているのだとか。
紙と丸ごと関わることが彼のア−ティストとしての姿勢で、和紙のアートや版画作品
を作りながら、和紙を作る楽しみも教えています。
 
実はこのリチャードさん、私の古くからの友人でもあります。
今回は彼の芸術家としての姿勢、来日の理由、誰も知っている人のいない日本で
確かに歩んできた波乱の道程を、お話していただきました。




自然と対話すること
これが私のア−ティストとしての姿勢
 
 
ロズリン:今日は、手漉き和紙のカードを作るワークショップ、とても楽しかったです。
     ありがとうございました。
 
リチャード:和紙はできあがりも素敵ですが、作り上げる過程が本当に魅力的です。
      そこが私が和紙を大好きなところでもある。
 
      今日行なったのは、楮の木の皮をはがす段階から始まる紙漉きの全ての
      工程の中、ラストともいえる部分。
      
      繊維を水につけて型にまとめて入れ、水分をカットして紙にする作業ですが、
      すごくおもしろいですよね。



ロズリン:興味深かったです。
     特に水の中でさわる楮の繊維の感触がふわふわで気持ち良かったのが
     印象的でした。
 
リチャード:楮の繊維が生きたまま、紙の中に存在しているのがいいですね。
      パルプと違って紙が生きており、自然の木のニュアンスがそこにはあります。
 

ロズリン:模様をつけたみなさん、和紙のカードに落ち葉や花など思い思いのものを
     入れ込み、個性的な仕上がりになっていて。 リチャードのもそうですが。



リチャード:私は和紙作り、版画製作いずれも、素材を生かすように、過程の中で
      もう少しこういう色にしようとか、もう少し長くおいてみようなどと物や素材と
      コミュニケーションをします。 あまり深く考えることは必要ない。
 
      それが私の創作のテーマです。

ロズリン:自然を活かしていくということですね。
 
リチャード:そうです。 私はアーティストで、職人ではないので、すいた和紙が同じ
      厚みである必要はないし、色あいもその時によって違う。
      そういう自然のアクシデントみたいなことが大好きです。

   

      私は物との対話や関係を大事にしたい。
      作家にはいろいろなタイプがあり、自分のエゴを伝えたい人もいますが、
      私は物のエッセンスを出すという感じです。



ロズリン:最初からそういう方向性だったんですか?



リチャード:いえ、来日後、日本の物の考え方や美術の影響を受けたと思います。
 

ロズリン:
もともと、アメリカで美術を学んだんですよね。
 
リチャード:そうです。 美大を卒業後、広告代理店に勤務しながら、夜にファイン
      アートの学校に通い、リトグラフやエッチング、版画の勉強をしました。
      そこで版画が大好きになったんです。
 
      またボストンに住んでいたのですが、そこにあったボストンファインアート
      ミュージアムには東洋コレクションがすごく充実しており、その鑑賞で
      大きな影響を受けました。
 
      俵屋宗達、尾形光琳などの、日本画の技法や考え方にすごく魅かれて
      いたんですね。




知人もお金もないのに、思い立って日本行きの船に乗った
 
ロズリン:日本にきたのはそれがきっかけですか?
 
リチャード:そうです。 思い立って来ることにしました。
      家族には港から、 「 これから船で日本にいきます 」 と電話しました ( 笑 )。
 
ロズリン:びっくりされたでしょうね。
 
リチャード:もちろんです。
      「 何で? 」 とか、 「 急にバカじゃないの? 」 などいわれました ( 笑 )。
  
      日本に知り合いもいないし、2年間勤務したときの貯金もそれほどないのに
      船にのってしまったんです。
 
ロズリン:大胆ですね。
 

リチャード:
横浜で船を降りたら、外国人でも宿泊させてもらえる鎌倉のお寺に直行し、
      そこに2週間ぐらい滞在しました。
 
      どうしても芸大で勉強をしたかったので、どのように目的を達成しようかを
      考えていたんです。




ロズリン:
ちょうど私が来日したのもこのタイミングで、早いうちに知り合ったんですね。
     ただ私は奨学金の留学したけれど、すべて自分でまかなうのは大変だったでしょう?
 
リチャード:観光ビザだったので、一度更新しても6カ月の滞在が限度。
      だから英語講師になることでワーキングビザを得て、芸大の大学院の
      聴講生になりました。
 

ロズリン:
リチャードがおもしろいのは、アメリカで広告代理店に勤務していたのに、
     こちらではそうしなかったことですよね。
 
リチャード:いや、実はそうしたかったんです。
      アメリカにいる時から、横尾忠則さんの表現が好きでしたし。
 
      英語講師になる前、あちこちの代理店にアタックしましたよ。
      でも日本の会社のシステムは、紹介者のいない外国人には難しい。
      全然雇ってもらえなかったんです。
 
ロズリン:結果的には入らないでよかったですね。
     もし入っていたら、今のような活動はできていなかったのでは。
 
リチャード:そうなんです。
      英会話講師の仕事のほうが、芸大の授業の邪魔にならなかった。



      主に午前中が授業。 午後や夜は英会話スクールというスケジュール。
      ここの英会話スクールの事務をしていた女性と結婚もしましたし。
 

ロズリン:
とてもやさしい方で、私も大好きでした。
     芸術家の妻になるのは、大変なんじゃないかと思いますけど ( 笑 )。

     芸大の入学は大変でしたか?
 
リチャード:いえ、聴講生は面接だけでしたのでそれほど大変じゃなかったです。
      もちろん私がアメリカで美大を卒業していたことはありますけど、芸大も
      外国人を多く入れて、より国際的にしたかったのでしょう。
      すごくいい経験ができました。
      授業もですが、いい友人から影響をたくさん受けられた。
      当時は日本語は今一つでしたが、アーティスト同士は言葉を使わなくても
      作品を見ればお互い通じるものがあるので、とてもいい関係が築けたように
      思います。
 

ロズリン:そして和紙に興味を持つようになって。
 
リチャード:芸大で木版画を学ぶうちですね。
      もともと私は浮世絵の技術に興味があったんですね。 
      色のぼかし方、ばれんの技術など。



      いい紙でないと破れてしまうので紙に注目し、徐々に和紙を作ること自体に
      夢中になったんです。

      最初は和紙の産地にあちこち見学にいったんです。
      最初は福井に魅かれましたが、妻が寒いからいやといったのと ( 笑 )、当時、
      伝統工芸の世界は、日本人でもその土地の人でないと入るのが難しい状態
      だったんです。
 
      ですが、埼玉県の和紙の町、小川町の製紙試験場に見学にいったときに
      「 和紙を作りたいんです 」 といったら、
      そこの方が、 「 じゃぁ、ここの施設を使って作れば? 」 といってくださった。
 

ロズリン:すごく親切ですね。
 
リチャード:感激でした。

      当時鎌倉に住んでいたので、最初は一度きたら3日泊まるなどのペースで
      通っていたのですが、大変なので妻と小川町に移住しました。
 
      ここから30年以上住むことになる、小川町とのつきあいが始まったんです。

 
 
 〜 手漉き和紙カードづくり 製作工程レポート 〜


   
   本来ならば、楮の皮を剥ぐ           2時間くらい 「 ソーダ灰 」 で煮る。
   ところからスタート。               このような状態に。

   
    煮た楮の繊維をさらに細かくするため棒でたたく。

     
     細かくなった繊維を、水をはった 「 すき船 」 に入れる。 よくかき混ぜる。


    
      網を張った木枠をすき船に沈め、繊維を引き上げてよく水を切る。

   
    よく水を切ったら、台に重ねて置く。 これを繰り返します。
   重ねる際は、間にレーヨンンのペーパーを挟みくっつき防止。
  

     
     重ねた和紙を水を切る装置に挟み、充分に水を切ります。
 
     
      立て掛けた板に、和紙を乾燥させるため貼り付けていきます。


       完成品!
      このように落葉など入れてもステキな仕上がりに。



 インタビューは後編へと続きます。
 お楽しみに!


 今回のワークショップも行われた、西荻窪の GALLERY SIND  は  →  こちら







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日本で人生の半分以上を暮らし、動物(特にネコ)と自然、最近はゴルフも愛する、心優しきオーストラリア人。
ワインなら何杯でも?いける口です♪

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