Interview

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江戸木目込人形 伝統工芸士 柿沼東光 さん 前編





   江戸木目込人形 伝統工芸士
   柿沼 東光 さん をお迎えした
   前編です。
  



 
江戸木目込人形の技で雛人形、五月人形などを作る人形工房 「 柿沼東光 」。
その代表取締役社長である柿沼東光さんは、伝統工芸士の匠として技術向上
につとめ、常に時代の今を見つめ、斬新な作品作りに取り組むスタイルで
新しい東光ブランドを築いている。



    柿沼東光 URLhttp://www.kakinuma-ningyo.com/



江戸木目込み人形の発祥は、京都の上賀茂神社
 
ロズリン:柿沼東光さんというお名前は、ご襲名なさっているようですが、
     何代目なのですか?
 
柿 沼 :2代目です。
     「 柿沼東光 」 は おやじが65年前に始めた、江戸木目込みの
       「 人形屋 」 なんです。
 
ロズリン:お父さまが人形作りを始めたきっかけは、何だったのですか?
 
柿 沼 :もともと子供の頃から、手先が器用だったそうですよ。
     消しゴムに彫刻をしていたのを親が見て、この子は何か物作りに
     進んだらいいんじゃないかと、台東区の人形屋さんに奉公に行かせた
     のがきっかけです。
 
     そこで勤務を続け、2度の大戦から戻った後、今の店を起こしました。

  

ロズリン:柿沼さんは、ほかの仕事をしたいなど抵抗はなかったですか?
 
柿 沼 :子供の頃から人形作りの手伝いをしていたので、自然と自分も
     この道に入るとインプットされていましたね。
 
ロズリン:実は私、教会の集まりの場で海外からの牧師へプレゼントされたこちらの
     江戸木目込人形を拝見したのが初めてです。

     本当に感動しました。
     やさしいお顔も、リアルな美しい着物の布地を使った衣装もすばらしいですね。



柿 沼 :
ありがとうございます。
     衣装には西陣織や、江戸や明治期の古布なども探して、いろいろ
     使っているんですよ。

     木目込人形とは、人形の胴体にみぞを彫って、そこに布を木目込んでいき、
     あたかも服を着ているように見せる技法ですが、発祥は1740年頃といわれて
     います。

     京都の上賀茂神社の雑掌という役職の方が、神社の祭壇などを作った
     木の残片を利用して、木彫りの人形を作り、神社の衣装の残り布を木目込んだ
     のが始まりだそうです。 そこから発展したんですね。
 
ロズリン:その後、江戸に?



柿 沼 :江戸の発展とともに職人さんたちが集まり、そこで江戸風に進化
     していったようですね。

     徐々に木彫りではなく、型をとって胴体を作る技法になり、多量生産や
     形態の多様化も可能となり、今のような多くの種類の人形が作られる
     ようになったんです。

     柿沼さんが所有する 江戸時代に作られた木目込人形
       
     現在江戸木目込人形は、経済産業大臣認定 の 伝統工芸品として、
     東京や埼玉で作られています。
 

ロズリン:
認定されると、守られるということですか?
 
柿 沼 :それもありますが、法律で伝統を守るための細かいことが規定
     されるので、いろんな細かい手間も発生するんですよ ( 笑 )。

     ただでさえ、木目込人形の作業工程は全て人の手で、機械化の余地
     がないんです。

ロズリン:どのような工程があるのですか?
 
柿 沼 :まず人形のイメージができたら、デッサン・サイズなどを企画して、
     それに基づいて人形の原形となるものを作ります。


     これを木枠に入れ、型を作り、その中に、木の挽き粉に糊をまぜて練った
     「 桐塑 ( とうそ )」 をつめ、型からぬく。
 
     これを乾燥させ、やすりで削るなどして整えてボディを作ります。
     そしてボディの上に、液状にした白い胡粉 ( ごふん ) をぬり、溝を彫る。

  
        胡粉を塗った後、溝が彫られた状態


ロズリン:胡粉とは?
 
柿 沼 :日本画などで使う、絵の具材です。
     そして溝を彫って、型紙からとった衣装となる布地を目打ちやヘラで
     木目込んでいく。

     これは本当の衣装を着せるように、下着から上着、袴、帯などの順に
     木目込みます。

     その後、企画によっては、図柄など胡粉で盛り上げ加工をして漆をぬり、
     その上に金箔を貼り、彩色を整え、最後に作っておいた頭や手をとり
     つけます。
 

芸術ではなく産業であることの難しさ
 
ロズリン:ものすごく凝っていますね。 どの工程が一番大変ですか?
 
柿 沼 :一番重要な工程は、図柄の盛上加工や金箔貼りも大変ですが、
     型から取り出したボディを整える生地作りでしょうか。

     これで人形の形が決まりますからね。

     ボディを型から抜いて乾燥させると、収縮や変形があるんですよ。
     それをもとの形を見ながら、やすりで細かいところまで磨いていく。
 
     この修正は完成した後は、外から見えない部分であり、整っていて
     あたりまえの部分なんですが、ここに案外時間がかかるし、ポイント
     なんです。
 
     それに磨く人の感性が、出てしまうんです。

  
     ただうちは、芸術品を作っているのではなく、手工業製品として人形を
     生産しているので、ある程度限られた時間の中でがんばってもらわ
     ないといけませんが。
 

ロズリン:それでも作る人の影響は、大きいでしょうね。
 
柿 沼 :そうですね。同じものを作るようにしても、たとえば家庭に問題を
     抱えていると、人形の表情が険しくなったりします。
 
ロズリン:そんなことが、あるんですか。



柿 沼 :間違いなく、表情に出ます。
     人形頭の面相書きは人形のよしあしに関係してくるので、
     とても重要ですし、表情がやさしくないといけません。

     作り手は落ち着いた状況で生活していないと、なかなかよい仕事は
     できないかもしれませんね。
 
ロズリン:服飾や文化の知識も必要でしょうね。
 
柿 沼 :そうですね。 もともと雛人形は公家の姿の写しですから、
     そういった面の歴史や衣装の勉強は私どもには重要です。

     時代により衣装も移り変わりますから、基本を知らずに作ることは
     できません。
 

ロズリン:今、社員の人数は何人ぐらいですか? 美大卒の方が多いですか?
 
柿 沼 :13人です。
     美大の方は作家志望が多いので、職人になるのはむずかしいですね。

     うちはアートではなく、作家的手工芸品としての人形屋ですから。

 
     また作業は分業で、1体を全部自分で仕上げるわけでもないので、
     自分のこだわりの強い方はむずかしいでしょうね。

     かえってまっさらな方で、手先の器用な方が向いているようです。
     慣れるまでは時間がかかりますけど。
 

ロズリン:若い方も応募されてくるんですか?
 
柿 沼 :最近はそうですね。
     うちの二人の息子も、最初は外に就職で出ましたが、今では二人とも
     戻ってきて、うちで働いています。
 
ロズリン:すばらしいですね。
     それに外で働いた経験は絶対役にたちますでしょうし。
 
柿 沼 :はい。 自主的に作家さんのところにも修業にいっていますし。

     工業製品としての厳しさと違う、作家さんの厳しさやこだわりも勉強して
     おいたほうがいいですから。

 
     ではちょっと仕事場のほうを見学してみませんか?
 
ロズリン:よろこんで。
 
 
 いよいよ、江戸木目込人形のお仕事場を見学!
 後編もお楽しみに!



 
 サッカーボールに乗った人形を発見!     こちらは伝統的な 「 高砂 」 人形
  ( 但し、売り物ではありません。 )






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日本で人生の半分以上を暮らし、動物(特にネコ)と自然、最近はゴルフも愛する、心優しきオーストラリア人。
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